浮世絵ぎゃらりぃ » 江戸のデザイン » 今様押絵鏡/団七九郎兵衛

«前の記事: 今四天王大山帰り

次の記事: 更名所作三番叟 »

今様押絵鏡/団七九郎兵衛

歌川豊国(三代)画/安政6年(1859)/大判錦絵/松林堂 (当サイト所蔵)
今様押絵鏡/団七九郎兵衛

歌舞伎の「夏祭浪花鑑」から、主人公の団七九郎兵衛が舅の義平次をトラブルから殺害してしまったあと、井戸水で返り血を洗い流す場面を描いたものです。
演じるのは中村福助。歌の部分は「御ひいきを 肩に祭りの はれ着かな 児雀」。児雀は中村福助の俳名です。

「今様押絵鏡」は、鏡の枠と役者絵を組み合わせた、豊国の斬新なアイデアによるシリーズもので、中でもこの作品は、迫力あふれる構図と優れたデザイン性において、シリーズ中最高傑作と言えるのではないでしょうか。
なお、この絵には「胡粉ちらし」という技法で水しぶきが表現されています。胡粉とは貝殻を焼いて粉にしたもので、これを散らすことで頭からかぶった水の飛沫を表現しているわけです。ですが、あいにく経年劣化により胡粉が化学変化で黒く変色してしまい、本来白くあるべき飛沫がこの絵では「黒い水しぶき」になってしまっています。

浮世絵ぎゃらりぃ内の関連記事